くじら肉各種商品のご紹介

くじらは部位によって楽しみ方が多様

【赤肉】

鯨の美味しさは赤肉の美味しさが基準といっても過言ではありません。クジラ肉の中でももっとも量の多い部位です。食肉でありながら、普段のエサがプランクトンや魚介類ですので、「旨味」・「食感」・「栄養価」、どれも『いいとこどり』になります。「栄養価」については別記いたしますが、特筆すべきものがあります。まずはお刺身。鯨の一番ポピュラーな楽しみ方です。生姜醤油やわさび醤油、にんにく醤油などがよく使われますが、マヨネーズ、オーロラソースなども面白いです。もちろんお寿司のネタとしても重宝されます。
この赤肉、「以前は牛肉等の手に入らない時期の代用品であり、そんなに旨くはない。」「そんなに旨くないのに、取れなくなったから高いだけ」などの評判もありましたことは承知しております。しかしながら、商業捕鯨を中止した30年以上前から大きく変わっているのが解体方法、保存方法と流通速度。これにより、鯨肉の美味しさは格段に上がっております。以前、マグロの「トロ」が流通速度の遅さからとても食べられないと言われ続けていたのが、今では高級品目になっているのをイメージしていただけるとわかりやすいかと思われます。マル幸商事では、食べやすいサイズから真空パックして販売しております。

くじら赤肉の刺身

【舌(さえずり)】

文字通り鯨の舌で、牛タン以上の美味しさと言われております。 ボイルしてポン酢でお召し上がりいただいたり、煮物やおでんの具としても適しております。シチューや天ぷらのかき揚げにしても面白い素材です。かの文豪、開高健は『新しい天体』の中で「日本一古いオデン屋(関東煮屋)」として名高い「たこ梅」で出されるさえずりのおでん串について、
「クジラの舌も根や先端などの部分によって組織がそれぞれ異なるらしくて、シコシコしたの、クニャクニャしたの、やや固い噛みきりやすいの、とろとろになったの、香ばしいの、焦げ味のあるのなどと、串の一本一本がまことに小憎らしく複雑であって、ひときれひときれがたのしみである。」
と述べています。実は、「さえずり」は上記「たこ梅」様の登録商標なのです。鯨の業界ではかなり広く知れ渡っている用語ですが、本来であれば、「さえずり®」と使うべきでしょうか。

くじらのさえずり

【畝須(うねす)】

鯨の下顎から腹部にかけて縦に走るのアコーディオン状の白い脂肪部分は畑の畝に似ていることから「畝(うね)」、その内側の赤肉部分を「須の子(すのこ)」といい、この二つを合わせて「畝須(うねす)」と呼びます。淡泊な脂身で歯切れの良さを味わうためには、ベーコンが一押しです。畝須のベーコンは畝須をオリジナル調味液に浸けてから茹で、スライスしたものです。この調味液の配合で味に大きな差が出ます。材料と調理法に自信のある弊社のベーコンを味わっていただければ、一段と良さを味わっていただけるはずです。

くじらの畝須ベーコン

【鹿の子(かのこ)】

下顎周りの霜降り肉を指します。尾身(尾肉)に負けず劣らずの希少高級部位です。この鹿の子模様は、見た目から実に美しいです。尾身よりはやや硬めなため、薄いスライスをお勧めします。少しコリコリした食感と、噛めば噛むほどあふれてくる質のいい脂肪分が楽しめます。溶けてしまうと脂肪分で切りづらくなるため、ほぼ凍った状態で薄く切るとちょうど良いです。お刺身の際は、生姜醤油やわさび醤油、にんにく醤油などがおすすめです。
火を通すと、また新しい発見が。薄いスライスは、すきやき、しゃぶしゃぶ、はりはり鍋などにおすすめです。あまり火を通しすぎると硬くなってしまいますので、お気をつけください。

【本皮】

鯨の体を覆う部位「本皮」は、皮下脂肪部分です。ほとんど脂肪分とゼラチン質から形成されています。口の中に広がる良質な脂やコラーゲンは、肌のハリツヤもアップさせ、体の内部から綺麗な肌にしてくれます。汁ものやしゃぶしゃぶにするといい出汁が取れ、食感のアクセントもあり、おでんや煮物、お吸い物やお味噌汁、粕汁などにも最適の食材です。

くじらの本皮

【おばいけ】

鯨の尾びれの部分です。地域によって「おば」、「おばけ」、「おばいけ」などと呼ばれます。鯨料理の定番のひとつです。ゼラチン質を多く含む尾びれの部分を薄くスライス、ボイル後、水でさらした物です。ポン酢や酢味噌、梅肉などでいただきます。マル幸商事では白く美しいさまを雪に例えて、「尾羽雪(おばいけ)」として販売しております。

くじらのおばいけ

【尾肉】

尾に近い背肉で、脂ののった霜降り状の最高級部位です。鯨が大海原を泳ぐのに最も使う部位とされ、「尾の身」の呼び名でも有名です。サシの入り方は、高級マグロの大トロ、高級牛肉の霜降りです。もちろん、味は別格です。もはや説明の必要がありません。こんないい部位を食べるときは、やはり正統派の刺身で味わってください。半解凍程度でスライスし、生姜醤油やわさび醤油、にんにく醤油でお召し上がりください。

くじらの尾肉

【百尋(ひゃくひろ)】

食感も楽しい鯨のホルモン 百尋は鯨の小腸。当社では輪切りにカットしたものを商品としてご提供しています。百尋は珍味に分類され、特に長崎~福岡地方で珍重されます。酢味噌や生姜醤油、からし醤油を付けて召し上がっていただくと、その独特のコリコリした食感と噛みごたえと独特の風味が楽しめます。

くじらの百尋

くじら肉について

くじら肉の栄養素とその効果


鯨の赤肉には「バレニン」という成分が含まれています。バレニンとは抗酸化成分の「イミダゾールペプチド」というアミノ酸の結合体のひとつで、渡り鳥に多く含まれる「カルノシン」、回遊魚に多く含まれる「アンセリン」に続く、第三の「イミダゾールジペプチド」として脚光を浴びています。
この「バレニン」が注目されたのは、くじらの独特の生態から。1年のうちの半年を餌場で、残る半年は繁殖期のため餌場から数千km離れた暖かい海でほぼ絶食状態で過ごすと言われており、このパワーの源として「バレニン」の効果が期待され、疲労抑制、筋肉維持、抗認知症、抑うつなどの効果を様々な学者が研究結果として発表しています。その効果から「バレニン」のサプリメントが大手企業から発売され、長距離走の選手をはじめとするアスリートの実証結果も出されています。

捕鯨の歴史 ~捕鯨の街"下関"~


元亀年間(1570年~1573年)長州(現・山口県長門市)で端を発した長州捕鯨は、集散・流通の拠点でもあり、また大量消費地であった下関の存在のおかげで繁栄の道を進みました。明治以降、下関は長門市発祥といわれる近代式(ノルウエー式)捕鯨の集散・流通基地として、更に発展していきました。
太平洋戦争後、日本の食糧難を救うため、捕鯨船が下関を出港していきました。
また、昭和30年代には、多くのキャッチャーボートが下関で建造され、南氷洋と下関港の間を何度も往復しました。
大洋漁業㈱(当時最大の捕鯨事業者:現マルハニチロ㈱)が昭和24年に東京に本社を移すまで、大洋ホエールズ球団(現・DeNAベイスターズ)が下関球場を本拠地にしていたことを知る人も、今では少なくなりました。
『下関は鯨の街』、そう言われるゆえんはこれらのバックボーンに基づいているのです。

くじら肉の食文化を巡って


その後、海洋資源の枯渇に対する心配、採算性の悪化による捕鯨から撤退する国、さらには1972年、国連人間環境会議において決定された【商業捕鯨を一時停止する】事を目的とした商業捕鯨モラトリアムを、1982年に国際捕鯨委員会(IWC)が採択したことにより、日本も商業捕鯨を停止。調査捕鯨と移行しました。調査捕鯨も調査船団は母港下関港から南氷洋へと出港していったのです。
2019年6月、日本は国際捕鯨委員会(IWC)を脱退。2019年7月より改訂管理方式(RMP)による厳格な資源管理のもと、領海及び排他的経済水域(EEZ)内で再び商業捕鯨を再開しております。鯨の街・下関は新たな1ページを綴り始めたのです。

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